蔵書目録
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*★は、大陸がツイッターで「もの研推薦図書」として紹介した書籍です。
| 資料番号 | もの研推薦図書 | 書名 | 著者 | 出版社 | 出版年 | ISBN |
|---|---|---|---|---|---|---|
| BC-0001 | マルセ太郎 記憶は弱者にあり―喜劇・人権・日本を語る | マルセ太郎[述]・森正 編著 | 明石書店 | 1999 | 978-4-7503-1192-0 | |
| BC-0002 | ★ | 増補新版 ナンシー関 没後10年 おかえりナンシー | 河出書房新社 | 2012 | 978-4-309-97782-9 | |
| BC-0003 | こちら葛飾区亀有公園前派出所 7 | 秋本治 | 集英社 | 1979 | 978-4-08-852817-5 | |
| BC-0004 | こちら葛飾区亀有公園前派出所 57 | 秋本治 | 集英社 | 1989 | 978-4-08-852099-5 | |
| BC-0005 | ★ | にっぽん藝人伝 | 矢野誠一 | 河出書房新社 | 2013 | 978-4-309-41227-6 |
| BC-0006 | 〈ものまね〉の歴史―仏教・笑い・芸能 | 石井公成 | 吉川弘文館 | 2017 | 978-4-642-05848-3 | |
| BC-0007 | 放送演芸史―笑いの軌跡 | 井上宏 編 | 世界思想社 | 1985 | 978-4-7907-0273-3 | |
| BC-0008 | 芸人魂 | マルセ太郎 | 講談社 | 1991 | 978-4-06-205677-9 | |
| BC-0009 | 笑人間 上巻(花王名人劇場10周年記念) | 澤田隆治 編・著 | 角川書店 | 1989 | 4-04-852048-2 | |
| BC-0010 | パロディ主義―「怒り」と「嘲笑」の知能指数 | マッド・アマノ | ビー・エヌ・エヌ | 1997 | 4-89369-527-4 | |
| BC-0011 | パロディ、二重の声―日本の一九七〇年代前後左右(展覧会図録) | 黒川典是・他 編 | ライブアートブックス | 2017 | ||
| BC-0012 | テレビ開放区―幻の『ぎんざNOW!』伝説 | 加藤義彦 | 論創社 | 2019 | 978-4-8460-1873-3 | |
| BC-0013 | だん凸かくし芸 | 団しん也 | 広済成堂出版 | 1981 | ||
| BC-0014 | ヤングセレクション ものまね大百科 | 実業之日本社ヤングセレクション編集部 編 | 実業之日本社 | 1990 | ||
| BC-0015 | ビジーフォー・スペシャルの包装禁止 1000YEN TOUR | ビジーフォースペシャル | 日本テレビ放送網 | 1991 | 4-8203-9110-0 | |
| BC-0016 | 時代とフザケた男-エノケンからAKB48までを笑わせ続ける喜劇人 | 小松政夫 | 扶桑社 | 2017 | 978-4-594-07767-9 |
蔵書記録
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【資料名】
マルセ太郎 記憶は弱者にあり―喜劇・人権・日本を語る
【資料種別】
書籍
【記録日】
ツイッター投稿日
2016年1月3日
【記録】
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しかし、猿のものまねと言えば何といっても「マルセ太郎」でしょう。立川談志や永六輔など演芸通から絶大な評価を受けた孤高の芸人であり、舞台中心であったため映像はあまり残っていませんがフランスの伝説的パントマイマー「マルセル・マルソー」の名を借りるだけありその模写力は驚くべきものでした
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通常、猿の形態模写というのは滑稽に演じられるものですがマルセの猿は哀愁や悲しみを演じます。談志をして「タモリ、たけしをテレビで見るのは文明、マルセを舞台で見るのは文化」と言わしめた程にマルセ太郎の芸は哲学的、思索的だったのです。芸人を超えた一人の哲学者としてもマルセは生きたのです
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マルセの書籍は在日朝鮮人としての複雑な心境や喜劇に対する思いなどが絡み合い非常に我々も考えさせられるものですが、在日外国人や障がい者など虐げられた過去を持つ人々をも喜劇の俎上に載せ、ユーモアと愛で包むマルセの優しさも読み取れます。
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2016年はマルセの死から2回目の申年です。巳年に東京コミックショー、申年にマルセ太郎を見ることはもうできませんが、素晴らしい芸はいつまでも語り伝えられていくのでしょう。

【資料名】★
増補新版 ナンシー関 没後10年 おかえりナンシー
【資料種別】
書籍
【記録日】
ツイッター投稿日
2016年6月1日
【記録】
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もの研推薦図書「ナンシー関 没後10年おかえりナンシー」。
稀代のコラムニスト兼消しゴム版画家のナンシー関の没後10年の節目に出版された特集ムックです。ナンシーの名版画、エッセイ、対談など盛り沢山でものまね関係なしに楽しめる一冊。
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いとうせいこうやみうらじゅん、えのきどいちろう(平仮名ばかりだな)らサブカル界の有名人らのトークや「ゴビ砂漠の砂は実は西部邁」というシュール四コマなど印象的な記事が多く載っていますが、もの研的視点から興味を惹かれたものが二つあります。一つは、「ナンシー関と松尾貴史の対談」です。
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松尾貴史はかつて「キッチュ」の名で野坂昭如など多くの文化人ものまねを得意としており、「朝まで生テレビ」のパロディ「朝までナメてれば」はものまね史に残るマスターピースです。そんな松尾とナンシーの対談では、ものまねの話は特に出ていませんが、松尾のものまね的視点が伺える部分があります。
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それは95年都知事選にドクター中松が出馬しなかったことを惜しむ発言です。真剣なはずの選挙に登場した泡沫候補で変人のドクターに注目するという視点は、真面目な状況の中の「変」を楽しむ余裕であり、それこそが数々の「変」な文化人をまねてきた松尾の芸の根底にあるのではないでしょうか。
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もう一つの興味深い記事は、ナンシーと清水ミチコ、南伸坊の鼎談です。ものまね芸人の清水、漫画家でありながら「顔真似」の第一人者で顔真似に関する著作もある南、そして消しゴム版画家として何百人もの顔を観察してきたナンシーの会話はものまねにおける「観察」の重要さを再認識させてくれます。

【資料名】
こちら葛飾区亀有公園前派出所 7/57
【資料種別】
書籍
【記録日】
ツイッター投稿日
2016年9月23日
【記録】
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前回に続き「こち亀とものまね」について。こち亀の単行本には毎回ゲストが解説を書いており、その人選は藤子・F・不二雄や本宮ひろ志、赤塚不二夫、ちばてつやなどの紛うことなきレジェンド達から、「おきゃんぴー」や「あらんどろん」など今となっては誰なのかピンと来ない芸人まで多種多様です。
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こち亀解説に登場したゲストの中でものまね関連は3名。7巻の若人あきら、29巻の桜金造(ハンダース)、57巻のウガンダ(ビジーフォー)です。29巻は未所持なので桜金造の解説は内容不明ですが、若人、ウガンダは共にものまねに関連した話をしています。
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7巻の若人あきらといえば謎の失踪事件が有名ですが、郷ひろみが歌番組を病欠した時に郷のものまねで代理出演したこともある程で実力は折り紙付き。解説では「郷ひろみとタモリのものまねが得意」としており、私はコージー冨田より先にタモリを真似ていた人物の存在をここで初めて知りました
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若人は、初期のタモリがしばしば披露していたキャラクター・中洲産業大学教授の声真似で解説を書く「声真似を文章化する」という謎の試みを7巻解説で行っていますが、文章でタモリの話し方を真似されてもよく分からず(それが狙いでしょうが)、煙に巻かれたような心持になります。
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こち亀連載13年目にあたる57巻の解説ではウガンダが、「13年前、僕は現ビジーフォーの高田裕三(グッチ裕三)とバンドで米軍キャンプを回っていた」という回想話に終始し、こち亀についての解説はほとんどないまま文章が終わっています。200巻の歴史には多種多様な解説が登場しているのです。

【資料名】★
にっぽん藝人伝
【資料種別】
書籍
【記録日】
ツイッター投稿日
2016年10月9日
【記録】
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【もの研推薦図書】矢野誠一『にっぽん藝人伝』
演芸評論家・矢野による昭和芸人59組の記録。1979年の『にっぽん藝人気質』に前口上や解説、各芸人のその後を追記した増補改訂版。冒頭の「昔と比べて今の芸人は駄目」論はいささか辟易するが生で昭和の芸人を見た筆者だからこそ書ける貴重な資料
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本書ではものまね芸人からは佐々木つとむ、団しん也、桜井長一郎がいずれも「声帯模写」の括りで登場している。本職の評論家に言うのも失礼な話かもしれないが、矢野の3人への評価は驚くほど的確で造詣が深い。演芸の流れ、ものまね文化を理解していないと書けない明晰な分析で納得させられる。
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今では古典化している桜井長一郎ですが、エノケンや大河内伝次郎だけ真似れば商売になった時代を脱し、有名人が無数に登場したマスコミ時代に「どう真似るかより誰を真似るか」を重視した第一人者として矢野は桜井を評価しています。今のものまねは桜井の開拓した道を発展させたものだと言えるのです。
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佐々木つとむの項は芸自体よりもその生き様に焦点を当て、彼の喧嘩好きで金にだらしないがどこか憎めない生き方を愛情込めて描いています。しかし、この評論の後の87年に佐々木は自身の生き方が原因で命を落とします。生き方が故に愛され生き方が故に死んだ佐々木の人生はまさに「昭和の芸人」です。
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団しん也の項では、矢野はものまねを「最初から贋物を目指す、決して本物になり得ない屈折した芸」と評しており私としてもこれは全くその通りだと思います。この屈折すら受け入れ、「似ていないことへの開き直り」を習得した団しん也はその潔さで芸人として生きながらえたのかもしれません。
